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秋山好古

秋山好古(軍人)の名言|「日本騎兵の父」が貫いた、ひとつの道に懸ける生き方の言葉

秋山好古(あきやまよしふる)さんは、1859年に愛媛県の伊予松山藩で生まれた陸軍軍人です。名前の「好古」は、『論語』の一節「述べて作らず、信じて古を好む」にちなむとされています。若い頃は苦労を重ねながらも、黎明期の日本陸軍で騎兵をゼロから育て上げ、「日本騎兵の父」と呼ばれるようになりました。日露戦争では騎兵第1旅団長として出征し、当時世界最強といわれたロシアのコサック騎兵と戦っています。無類の酒好きで、ときに馬上でビールを飲みながら進軍した逸話でも知られ、生活は質素で、身の回りに物をほとんど置かなかったと伝えられています。軍を退いたのち、郷里の松山で中学校の校長を務め、生徒たちの教育にも尽力しました。弟の秋山真之さんとともに、司馬遼太郎さんの小説『坂の上の雲』の主人公としても広く知られています。ここで紹介する言葉は、その『坂の上の雲』などを通じて広く伝えられてきたもので、すべてが本人の発言として記録されているわけではありません。それでも、寡黙だったと伝えられる好古さんの言葉は、ひとつの道に懸ける覚悟と、質素で潔い生き方を、今も私たちに伝えています。

男子は生涯、一事をなせば足る。

秋山好古さんの生き方を象徴する言葉として、最もよく知られています。あれもこれもと欲張るのではなく、生涯でひとつのことを成し遂げれば、それで十分だという考え方が示されています。

好古さんにとってのその「一事」は、日本の騎兵を世界に通用する存在に育て上げることでした。何かを極める人の、迷いのない覚悟が感じられます。

男にとって必要なのは、若いころに何をしようかということであり、老いては何をしたかということである。

人生の時間の流れを、「若いころ」と「老いてから」で対比した言葉です。若いうちは、何を志し、何をしようと考えるかが大切で、老いてからは、実際に何を成し遂げたかが問われるという、人生の本質を突いた考え方が示されています。

志を立てることと、それを形にすることの両方の大切さを、簡潔に言い表しています。

身辺は、単純明快でいい。

訪ねてきた弟に、なぜ茶碗が一つしかないのかと聞かれた際の言葉として伝えられています。必要最低限のもので暮らし、余計なものを持たないという、好古さんの質素な暮らしぶりと生き方が、この一言に表れています。

物が増えやすい現代にこそ、身軽に生きることの清々しさを思い出させてくれる言葉です。

人は生計の道を講ずることに、まず思案すべきである。一家を養い得てはじめて、一郷と国家のために尽くす。

理想や大義を語る前に、まず自分と家族の暮らしを成り立たせることが先だという、現実的な考え方です。足元の生活を支えてこそ、地域や国のために働けるのだという順序が、はっきりと示されています。

地に足のついた生活者としての視点が、軍人であった好古さんの言葉にあるところが印象的です。

己の意見もない者が、他人の意見を読むと害になるばかりだ。

学ぶことの順序について語った言葉です。自分の考えが定まっていないうちに、他人の意見ばかりを取り入れると、かえって振り回されてしまうという、独自の読書観・学問観が示されています。

まず自分で考えること。情報があふれる今の時代にも、通じる戒めです。

いかにすれば勝つかということを考えてゆく。その一点だけを考えるのがおれの人生だ。それ以外のことは余事であり、余事というものを考えたりやったりすれば、思慮がそのぶんだけ曇り、乱れる。

軍人としての一点集中の姿勢を語った言葉です。勝つためにはどうすればよいか、ただそれだけを考える。それ以外のことは「余事」であり、考えるほど思慮が曇ってしまうと、徹底した集中の大切さを説いています。

「一事をなせば足る」という考え方を、仕事の進め方に落とし込んだような言葉です。

向いていなければさっさとやめる。人間は、自分の器量がともかく発揮できる場所を選ばねばならない。

不向きなことを無理に続けず、自分の力が発揮できる場所を選ぶことの大切さを説いた言葉です。「さっさとやめる」という割り切りと、自分の器量を活かす場所を選ぶという前向きな視点が、セットで語られています。

頑張ることだけが正解ではないと教えてくれる、実践的な処世訓です。

何でも良いから働け。仕事は見つけさえすれば何でもある。

仕事に悩み、動けずにいる人に向けた、飾らない励ましです。選り好みをせず、とにかく働くことが先で、仕事は探せば必ず見つかるという、まっすぐな言葉が示されています。

苦労を重ねて道を切り開いてきたと伝えられる好古さんの、実感がこもったように聞こえる言葉です。

偉くなろうと思えば邪念を去れ、邪念があっては邪欲が出る。邪欲があっては大局が見えない、邪念を去るということは、偉くなる要訣だ。

立身出世について語った言葉です。偉くなりたければ、邪念を捨てること。邪念があると欲が出て、欲があると全体が見えなくなってしまうという、順を追った論理が示されています。

野心を否定するのではなく、冷静な目を保つことの大切さを説いています。

のっけから運をたのむというのは馬鹿のすることぞ。

運任せにする姿勢を、厳しく戒める言葉です。まずは自分でできる限りのことを尽くすべきで、最初から運に頼るのは愚かなことだと、きっぱり語っています。

地道に準備を重ねて勝つことを重視した、好古さんの考え方がよく表れています。

一個の丈夫が金というものでひとの厄介になれば、そのぶんだけ気が縮んで生涯しわができる。

お金で人に頼ることの代償を、少しユーモラスな言い方で語った言葉です。一人前の男が金銭で人の世話になると、そのぶん気が縮んで、生涯にわたって心にしわが残ってしまうと言っています。

自立して生きることの気持ちよさを、ありありと感じさせてくれます。

人、一人一人が独立して、初めて国家が独立する。

個人の自立が、国家の独立の土台になるという考え方です。一人ひとりが自分の力で立つことなしには、国としての独立もありえないという、明治という時代を生きた人の視点が表れています。

教育者として若者たちに向き合った好古さんの、人づくりへの信念がうかがえる言葉です。


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