山下清

山下清(貼り絵画家)の名言|飾らない言葉で平和と自由を語った放浪の画家

山下清(やましたきよし)さんは、1922年に東京で生まれた貼り絵の画家です。幼い頃の病気をきっかけに軽度の知的障害を抱え、千葉県の八幡学園で暮らす中で、貼り絵と出会いました。驚異的な映像記憶力を持ち、一度見た景色を細部まで覚えていて、あとから記憶をもとに作品に仕上げたといわれています。1940年に突然学園を離れ、約15年にわたって日本各地を放浪。その旅を、日記のように素朴な言葉で書き残しました。特に花火が大好きで、全国の花火大会を訪ね歩き、代表作「長岡の花火」をはじめとする作品に、その感動を表現しています。「日本のゴッホ」と呼ばれ、芦屋雁之助さんが演じたテレビドラマ『裸の大将放浪記』でも広く知られるようになりました。戦争を何より怖いと語り、争いのない世界を願った山下清さん。その言葉は、飾らず、ごまかさず、思ったことをそのまま書いたからこそ、時代を超えて多くの人の心に届いています。

みんなが爆弾なんかつくらないで、きれいな花火ばかりつくっていたら、きっと戦争なんか起きなかったんだな。

山下清さんの最も有名な言葉です。爆弾も花火も、火薬を使って作るものですが、人を傷つけるものではなく、人を喜ばせるものだけを作っていたなら、戦争は起きなかったのではないかと語っています。

花火を愛した山下さんだからこそ生まれた、素朴でありながら、平和への願いがまっすぐに伝わる名言です。

戦争と言うものは一番怖いもので、一番大事なものは命で、命より大事なものはない。

戦時中の恐怖を、飾らない言葉でそのまま書き残したものです。難しい言葉を使わず、「一番怖いもの」「命より大事なものはない」と言い切るシンプルさが、かえって胸に響きます。

戦争を恐れて放浪の旅に出たともいわれる山下さんの、率直な気持ちが伝わってきます。

上手に逃げよう。

つらいことや嫌なことから、無理に立ち向かうのではなく、上手に逃げればいいという言葉です。徴兵や戦争から逃れて放浪に出た山下さんの人生を思うと、重みのある一言です。

逃げることは悪いことではなく、自分を守るための大切な選択でもあるのだと、気づかせてくれます。

ぼくは、ぼーとしているのが、やっぱり一番いいな。

何かを成し遂げなければと焦るのではなく、ぼーっとしている時間こそが一番いいと語った言葉です。忙しい毎日の中で、何もしない時間の大切さを思い出させてくれます。

力の抜けたこの一言には、山下さんの自由で穏やかな生き方がにじんでいます。

自分がいい所へ行こう。行こうと思うと、少しもいい所へ行かれない。いい所へ行こうとしなければ、しぜんにいい所へぶつかる。いい所へ行こうとするから、いい所へぶつからないんだろう。

旅の途中で感じたことを、そのまま書いた言葉です。「いい所へ行こう」と力むと、なかなかうまくいかず、気を張らずに歩いているほうが、かえっていい場所に出会えるという、不思議な実感が語られています。

人生にも通じる考え方で、力を抜くことの大切さを、さりげなく教えてくれます。

おにぎりが貰えるまで歩くから、貰えないってことはないんだな。

「おにぎりが貰えなかったらどうするのか」と問われたときの答えとして知られている言葉です。もらえないなら、もらえるまで歩き続ければいいという、シンプルで揺るぎない論理が語られています。

あきらめずに歩き続ければ、必ず道は開けるという、前向きな生き方を象徴する言葉です。

東京の人もいなかの人も同じ人間だから、どこへ行ってもはくじょうな人としんせつな人がいる。

全国を歩いて、さまざまな人と出会ってきた山下さんの観察です。都会の人も田舎の人も、同じ人間であり、どこに行っても冷たい人もいれば親切な人もいるという、公平なまなざしが示されています。

偏見を持たず、人を見つめ続けた山下さんの、素直な人間観が表れています。

自分がうそをついて、よその人が本気になってむちゅうになって話を聞いてむすびをくれるので、自分のうそがうまいぐあいにいったと思っておかしくなってしまいました。

放浪の旅の中で、おにぎりをもらうために作り話をしたときの出来事を、正直に書いた日記の一節です。うそがうまくいったことを、悪びれずに「おかしくなってしまった」と語る、飾らない書きぶりが印象的です。

自分の失敗や調子のよさまで、ありのままに書き残す、山下さんの率直さがよく表れています。

日本人は日本だましいがあるから戦争勝つと言うのはうそだ。日本人もアメリカ人も同じ人間だから、両方ともたましいがあるから、心は同じだから、戦争の道具のいいのを持っている国にはかなわない。

戦時中に広く言われた「日本人は精神が強いから勝てる」という考え方に、素朴な言葉で疑問を投げかけた文章です。どちらの国の人も同じ人間であり、結局は道具の力の差が大きいのだと、冷静に見つめています。

周囲の空気に流されず、自分の目で見て考えた、山下さんの観察力がよく表れています。

ぼくは動物園がすきなので、もっとここにいたかったのに、まだいくところがあるからはやくいこうといわれて、自分のみていたいものは人がおもしろくなく、人のおもしろいところはぼくにはちっともおもしろくないので、人はすきずきで、自分のすきなものだけみてあるくには、ひとりで放浪するのがいちばんいい。

人と一緒に行動することで感じた窮屈さを、率直に語った言葉です。好きなものは人それぞれ違うから、自分の好きなものだけをじっくり見たいなら、一人で放浪するのが一番いいと、自分の好きなことへのこだわりが綴られています。

人と違っていてもいい、という、自分の「好き」を大切にする姿勢が伝わってきます。

えらいからって何でもできるとはきまらないんだな。

「えらい人は何でもできる」という思い込みを、素朴な言葉でひっくり返した一言です。立場や肩書きが高いからといって、何でもできるわけではなく、誰にでも得意・不得意があるという考え方が示されています。

人を肩書きで判断しない、山下さんのまっすぐなまなざしが、この短い言葉に表れています。

ぼくは新聞はめったにみないが、ときどきよむとみんな本当のことばかりではないような気がするので、嘘と本当はどのくらいのわりあいに世のなかにあるものだか、わからなくなる。大ぜいが本当だといえば、嘘でも本当になるかもわからないので、世のなかのことは、ぼくにはよくわからないのです。

情報があふれる現代にも通じる、鋭い問いかけです。大勢が本当だと言えば、嘘でも本当になってしまうかもしれない。そんな世の中の仕組みを、難しい言葉を使わずに言い当てています。

「わからない」と正直に言える強さが、この文章をいっそう説得力のあるものにしています。

旅行するのはくせだからなおらない。

放浪をやめられない理由を、ひとことで言い表した言葉です。「くせだから、なおらない」と、あっさり開き直ってしまうところに、山下さんらしい愛嬌があります。

理由を飾らず、ありのままに語る素直さが、多くの人に愛された理由の一つなのでしょう。

今年の花火はどこへ行くかな?

花火が大好きだった山下清さんの、素直な楽しみが表れた言葉です。今年はどの花火大会に行こうかと、胸をふくらませている様子が、そのまま伝わってきます。

好きなことを、純粋に楽しみにして生きる幸せが、この短い言葉にあふれています。


山下清さんの名言を紹介してきましたがいかがでしたか?
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