
淀川長治(映画解説者)の名言|映画を愛し、人を愛した「サヨナラおじさん」の言葉
淀川長治(よどがわながはる)さんは、1909年に兵庫県神戸市で生まれた映画解説者・映画評論家です。幼い頃にチャップリンの映画に心を打たれたことをきっかけに映画の世界に魅了され、雑誌『映画之友』の編集者として映画に関わり始めました。1966年からは、テレビ番組『日曜洋画劇場』で約32年にわたり映画解説を務め、番組の最後に「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ…」と、笑顔で別れを告げる独特の語り口で、「サヨナラおじさん」「ヨドチョーさん」と呼ばれて、全国の視聴者に愛されました。映画の良いところを見つけて伝えることに情熱を注ぎ、「私は嫌いな人に会ったことがない」「苦労歓迎」「他人歓迎」を信条に掲げていました。映画監督の黒澤明さんとは親友で、1998年には、亡くなる前日まで、車椅子で『日曜洋画劇場』の解説を収録。89歳で生涯を閉じました。映画を通じて、人間を知り、人を愛し続けた淀川長治さん。その言葉には、人生を深く味わうための知恵と、人へのあたたかなまなざしが込められています。
それでは次週をお楽しみ下さい。さよなら、さよなら、さよなら…
淀川長治さんが、『日曜洋画劇場』の解説を締めくくるときに必ず口にした、決まり文句です。「さよなら」を3回繰り返す独特の言い回しは、視聴者に深く愛され、淀川さんの代名詞となりました。
別れの言葉でありながら、「また次週に会いましょう」という、あたたかな約束も感じさせる、忘れられない一言です。
私は嫌いな人に会ったことがない。
淀川長治さんの信条として、テレビや著書でたびたび語られてきた言葉です。「どんな人にも、どこかいいところがある」という考え方に基づき、嫌な面よりも長所を見つけようとする姿勢が込められています。
映画の悪いところを探すのではなく、良いところを褒める淀川さんの解説スタイルとも、重なる考え方です。
まだ嫌いな人に会ったことがない、なんていってるけど、好きな人には滅多に会えないものよ。この世は嫌いな人ばかりなの。これが実はぼくの本音なの。嘘をついて生きていたら、とても疲れるものなのよ。
弟子の佐藤有一さんに、淀川長治さんがこぼした本音として伝えられています。「嫌いな人に会ったことがない」を信条にしていた淀川さんが、後年、「実は大嘘」と打ち明けたという逸話とともに知られています。
建前を貫くのではなく、ふとした瞬間に本音を見せる人間味が、かえって淀川さんの魅力を深めています。
映画とは国と国の垣根をなくすことね。映画とは世界の言葉を持っていることね。映画とはみんなが見るものね。映画とは人間を知ることね。これほど人間について教えてくれるものはないのね。
淀川長治さんが、「映画とは何か」を語った言葉です。国境を越えて、世界中の人が同じ映画を見て、人間を知ることができる。そんな映画の力を、リズミカルに語っています。
幼い頃から映画とともに生きてきた淀川さんの、映画への深い愛情が伝わってきます。
名作映画は、人類にとって最高の総合芸術である。
映画を愛し続けた淀川長治さんが、映画の価値を端的に言い表した言葉です。物語、演技、音楽、美術など、あらゆる芸術が一つになった映画は、人類にとって最高の総合芸術であるという、確かな信念が込められています。
32年にわたり、毎週、映画の魅力を伝え続けてきた淀川さんの、揺るぎない映画観です。
人間が生きるということはどういうことかといつも考える。すると死ぬことだということに帰着する。死ぬとわかれば今日この一日を十分に生きねば損だと思う。
淀川長治さんの人生観が表れた言葉です。生きるとはどういうことかを考えると、いつかは終わりがあるということに行き着き、だからこそ、今日という一日を十分に生きなければ損だという結論にたどり着いています。
終わりがあることを意識して、今日を大切にする。前向きで力強い人生訓です。
これをやっていれば幸せということ、誰でも一つ、あります。それを探しなさい。それを見つけて仕事にしたら、きっと幸福ですよ。
若い世代に向けた、淀川長治さんの励ましの言葉です。誰にでも、それをやっていれば幸せだと感じることが一つはあり、それを探して仕事にできれば、きっと幸福になれると語っています。
映画に出会い、映画を仕事にした淀川さん自身の人生が、そのまま言葉になっています。
濡れた心を持たないと、砂を噛むような味気ない人生になってしまう。
「濡れた心」とは、感動して涙したり、物事に心を動かしたりする、みずみずしい感性のことです。そんな心を持たないと、人生は砂を噛むように味気ないものになってしまうと、淀川長治さんは語っています。
映画を通して、人の心を揺さぶる体験を重ね続けた淀川さんだからこそ、説得力のある言葉です。
思えば神様は人間をゆたかに幸せにするために、いつも苦労させるのだ。
「苦労歓迎」を信条としていた淀川長治さんらしい言葉です。神様が人間に苦労を与えるのは、意地悪ではなく、人間を豊かに、そして幸せにするためだという、前向きな苦労観が示されています。
つらい時期にある人にとって、苦労の意味を捉え直すきっかけになる言葉です。
知らぬ人には無愛想、知る人には愛情いっぱい。これが日本人には極端すぎる。
日本人の人づきあいについて、淀川長治さんが語った観察です。知らない人には素っ気なく、知っている人にはとても親切という、その落差を「極端すぎる」と評しています。
「他人歓迎」を掲げた淀川さんだからこそ、見知らぬ人にも開かれた態度を大切にしていたのでしょう。
映画だけじゃなく、歌舞伎も演劇も、いろんないいものを観なさい。
弟子の佐藤有一さんに、淀川長治さんが語ったとされる言葉です。映画だけにこだわらず、歌舞伎や演劇など、さまざまな「いいもの」に触れることが、感性を広げるのだと教えています。
映画の専門家でありながら、他の芸術にも広く目を向けていた、淀川さんの懐の深さが伝わります。
解説者がひどい映画と言ってしまってはいけない。それは見る人に対しても失礼だし、作った人に対しても失礼だ。必ず褒めなさい。
俳優の児玉清さんが、ある映画を正直に酷評した際に、淀川長治さんから受けた指導として伝えられている言葉です。見る人にも、作った人にも失礼になるから、必ず良いところを見つけて褒めなさいと諭しました。
映画を愛し、作り手へも敬意を払い続けた淀川さんの解説の姿勢が、この一言によく表れています。
淀川長治さんの名言を紹介してきましたがいかがでしたか?
あなたの知っている淀川長治さんの名言がありましたらコメント欄で教えてくださいね。

偉人や著名人、アーティスト、アスリート、マンガ・アニメの登場人物など、さまざまな人の言葉を紹介しています。名言だけを並べるのではなく、その言葉が生まれた背景や込められた意味、人物の歩みまで丁寧に調べ、今を生きる私たちにどのような気づきを与えてくれるのかを、わかりやすくお伝えします。
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。








この記事へのコメントはありません。