
鳥井信治郎(実業家)の名言
鳥井信治郎(1879–1962)は、サントリー(旧・寿屋)の創業者であり、日本に洋酒文化を根づかせた先駆者です。大阪で薬種商を営む家に生まれ、洋酒の可能性に着目して国産ワインやウイスキーの製造に挑戦。特に1923年に山崎蒸溜所を設立し、日本初の本格ウイスキーづくりを始めた功績は大きく、後の「響」や「山崎」などの名品につながります。「やってみなはれ」の精神で、常に時代を先取りし、顧客目線を貫いた商人哲学は、今もサントリーの企業文化に息づいています。
やってみなはれ。やらなわからしまへんで。
サントリー創業者・鳥井信治郎さんが残した名言であり、挑戦の精神を象徴する言葉です。意味は「まずやってみなさい。やってみなければ、何もわからない」ということ。失敗を恐れず、行動することで初めて得られる気づきや成長があるという教えです。日本初の国産ウイスキー開発など、前例のない事業に挑んだ鳥井氏の姿勢が凝縮されており、現代のビジネスや創作活動にも通じる普遍的な価値を持っています。保守的な空気の中でも、未知への一歩を踏み出す勇気を与えてくれる言葉です。
好きやったら好きで、一生懸命やりなはれ。そしたら自然にでけるようになる。
この言葉は、鳥井信治郎さんが語った「情熱と努力の連動」を端的に表しています。「好きやったら好きで」とは、まず自分の好きなことに素直になること。そして「一生懸命やりなはれ」は、その好きを原動力にして全力で取り組むことを勧めています。好きなことに没頭すれば、自然と技術や知識が身につき、「でけるようになる」=できるようになる、というのは、努力の先にある成長の実感を示しています。才能や経験の有無よりも、情熱と継続が何よりも大切だという、鳥井氏の人間観・仕事観がにじむ言葉です。
阿呆なことはやめなはれ。カネ儲けの方法はなんぼでもあるけど、そんなことで儲けたかて仕様おませんで。
この言葉は、鳥井信治郎さんが商売における倫理と誠実さを重んじた姿勢を表しています。「阿呆なことはやめなはれ」とは、道理に外れた愚かな行為、つまり不正や誠意のない儲け方を戒める言葉です。「カネ儲けの方法はなんぼでもある」と言いつつも、「そんなことで儲けたかて仕様おませんで」と続けることで、利益だけを追求する姿勢に警鐘を鳴らしています。商売は人との信頼関係の上に成り立つものであり、誠実さを欠いた儲けには価値がないという信念が込められています。長く愛される企業や商品を育てるには、正道を歩むことが何よりも大切だという教訓です。
いくら広告しても、肝心の商品が上等のものでなかったら、あきまへん。
鳥井信治郎さんが商売の本質を語った名言です。「いくら広告しても」とは、宣伝やマーケティングに力を入れてもという意味で、「肝心の商品が上等のものでなかったら、あきまへん」は、商品そのものの質が悪ければ意味がないという警句です。つまり、見せ方や言葉で人を惹きつけても、実際の中身が伴っていなければ、顧客の信頼は得られず、長続きしないという教えです。広告はあくまで入り口であり、真に評価されるのは商品そのもの。誠実なものづくりこそが商売の根幹であるという、鳥井氏の信念が込められています。
本物をやりなはれ。偽物はいかん。もってのほかですわ。
鳥井信治郎さんがものづくりや商売において誠実さと品質を何より重視した姿勢を表す言葉です。「本物をやりなはれ」は、真心を込めて本質を追求することを勧める一言。「偽物はいかん。もってのほかですわ」は、見せかけやごまかしを厳しく否定し、偽りのある商売は断じて許されないという強い信念が込められています。これは単なる品質管理の話ではなく、顧客との信頼関係を築くための根本的な哲学です。長く愛される商品や企業を育てるには、誠実で本物志向の姿勢が不可欠だという教訓です。
一緒にウイスキーつくろう。今の日本ではあかんかもしれへん。そやけど、何年か後の未来には必ずこの日本にもウイスキーの波が来る。わてらがその波、つくるんや。
この言葉は、鳥井信治郎さんが日本初の本格ウイスキーづくりに挑んだ際の情熱と先見性を表しています。当時の日本ではウイスキー文化が根付いておらず、「今の日本ではあかんかもしれへん」と現状の困難を認めつつも、「未来には必ず波が来る」と信じて疑わなかった姿勢が印象的です。「わてらがその波、つくるんや」という一言には、ただ流れに乗るのではなく、自ら時代を切り拓く覚悟と誇りが込められています。これは単なる商品開発ではなく、文化創造への挑戦であり、未来を信じて行動することの大切さを教えてくれる言葉です。
人のやらないことをやりなはれ。
鳥井信治郎さんが常に独自性と先見性を重んじた姿勢を象徴する言葉です。周囲と同じことをしていては新しい価値は生まれない。だからこそ、他人が避けること、未踏の領域にこそ挑戦の意義があるという教えです。これは単なる逆張りではなく、時代の流れを見極め、自らの信念に従って行動することの重要性を語っています。日本初の国産ウイスキー開発など、前例のない挑戦を続けた鳥井氏の実践が裏付ける言葉であり、創造的な仕事や文化活動にも通じる普遍的な指針です。
商売は真似したらあかん。真似は所詮、真似や。
鳥井信治郎さんが独自性と創造性を重んじた姿勢を端的に表した言葉です。ここでの「真似」は、他者の成功や手法をそのまま模倣することを指し、それでは本質的な価値や信頼は築けないという警句です。真似は一時的に成果を得られるかもしれませんが、所詮は他人の後追いであり、持続的な発展にはつながらない。鳥井氏は、日本初のウイスキーづくりなど、前例のない挑戦を通じて「自分たちにしかできない商売」を追求しました。この言葉には、商売において本物の価値を生むには、自ら考え、創り出す姿勢が不可欠だという信念が込められています。
信用は一日にして成らず。けれど一日で潰れる。
鳥井信治郎さんが商売や人間関係における信頼の本質を鋭く突いた言葉です。信用は、日々の誠実な積み重ねによって少しずつ築かれるものであり、時間と努力が必要です。しかし、その信用はたった一度の不誠実や失敗によって、簡単に失われてしまうという警句でもあります。これは企業活動だけでなく、個人の生き方にも通じる教訓であり、誠実さ・責任感・継続的な努力の重要性を強く示しています。信頼は目に見えない資産であり、それを守るためには日々の言動に細心の注意を払う必要があるのです。
売る前のお世辞より、売ったあとの奉仕。これこそ永久の客をつくる。
鳥井信治郎さんが顧客との信頼関係を何より重視した姿勢を表す言葉です。商品を売るための甘い言葉や宣伝よりも、購入後の対応やサービスこそが本当の価値を生むという教えです。売った後に誠実なフォローや心遣いを示すことで、顧客は安心し、信頼を深め、長く付き合ってくれる「永久の客」となる。これは一過性の売上ではなく、継続的な関係を築くことの重要性を語っており、現代のビジネスにも通じる本質的な顧客志向の哲学です。
時代が変われば、商売のやり方も変わらなあかん。
鳥井信治郎さんが柔軟な発想と変化への対応力の重要性を説いた言葉です。時代の流れや価値観、技術が変化すれば、従来のやり方に固執していては通用しなくなる。だからこそ、商売人は常に世の中の動きを敏感に捉え、変化に応じて自らの方法を見直し、進化させる必要があるという教えです。これは、保守的な姿勢ではなく、挑戦と革新を恐れない精神を示しており、鳥井氏が日本初のウイスキーづくりなど新しい市場を切り拓いた背景にも通じます。商売とは、時代とともに歩む創造的な営みなのです。
人の行く裏に道あり花の山。
鳥井信治郎さんが好んで引用したとされる俳句の一節で、もともとは俳人・芭蕉の門人である道灌の句とされています。この言葉は、「人が行く表の道ではなく、裏の道にこそ思いがけない美しい景色(花の山)がある」という意味で、常識や多数派に流されず、あえて人と違う道を選ぶことで新しい価値や発見があることを示唆しています。鳥井氏はこの精神を商売にも活かし、誰も挑まなかった国産ウイスキーづくりなどに果敢に挑戦しました。独自性と先見性を重んじる姿勢が、この言葉に凝縮されています。
人生とはとどのつまり賭けや。やってみなはれ。
鳥井信治郎さんが人生観と行動哲学を凝縮して語った言葉です。「とどのつまり賭けや」とは、人生は最終的にリスクを伴う選択の連続であり、確実な正解などないという現実を受け入れる姿勢を示しています。そのうえで「やってみなはれ」と続けることで、迷いや恐れにとらわれず、まず行動することの大切さを強調しています。成功も失敗も、やってみなければ得られない経験であり、挑戦こそが人生を切り拓く鍵だという信念が込められています。これは、鳥井氏自身が未開の分野に飛び込んできた実践者としての重みある言葉です。
どんな酒かて寝かせれば、ええ味に変わるかもわからん。
鳥井信治郎さんが語った熟成の価値と可能性を象徴する言葉です。ここでの「寝かせる」とは、時間をかけてじっくり育てることを意味し、酒に限らず人や仕事、アイデアにも通じる概念です。すぐに結果が出なくても、焦らず丁寧に向き合えば、やがて味わい深い成果に変わるかもしれないという希望と信念が込められています。これは、国産ウイスキーの開発に長い年月をかけた鳥井氏の実体験から生まれた言葉であり、忍耐と信頼の大切さを教えてくれる人生訓でもあります。
開拓魂や。寿屋の創業以来の精神やで。
鳥井信治郎さんが自らの企業哲学を端的に表した言葉です。「開拓魂」とは、前例のない道を切り拓く勇気と情熱を意味し、これはまさに鳥井氏が寿屋(現サントリー)を創業した当初から貫いてきた信念でした。日本で初めて本格的なウイスキーづくりに挑戦したことや、洋酒文化の普及に尽力した姿勢は、その象徴です。この言葉には、困難を恐れず、未知の市場や価値を創造する精神が込められており、単なる経営理念にとどまらず、人生を切り拓く姿勢としても響く力強いメッセージとなっています。
60何年、酒、酒、酒で苦労してきとる。なんぼバカでも、60年もやればものも分かりまっせ。
鳥井信治郎さんが自身の長年にわたる酒づくりの経験を語った言葉です。ここには、知識や技術は一朝一夕では身につかず、長い年月をかけて積み重ねることで本質が見えてくるという実感が込められています。「なんぼバカでも」と自嘲気味に語りながらも、60年という歳月がもたらす熟練と洞察への誇りがにじみます。これは、継続することの価値と、経験が人を育てるという教訓であり、若い世代にも「焦らず、続けることの大切さ」を伝える力強いメッセージです。
そう言わずに、やってみなはれ!
鳥井信治郎さんが相手の迷いや否定的な姿勢に対して、前向きな行動を促すときに使った言葉です。「そう言わずに」は、ためらいや否定を受け止めつつも、「やってみなはれ!」と力強く背中を押すことで、挑戦することの大切さを伝えています。失敗を恐れて立ち止まるのではなく、まず一歩を踏み出すことに価値があるという信念が込められています。この言葉には、相手を思いやりながらも、未来を信じて行動を促す温かさと力強さがあり、鳥井氏の人柄と開拓者精神がにじむ名言です。
日本人が西欧人に劣るはずがない。
鳥井信治郎さんが語った、自国の文化や人材に対する強い誇りと信念を表す言葉です。この言葉には、当時の日本が西洋文化や技術に追いつこうとする中で、「追随するだけでなく、対等に渡り合える力がある」という確信が込められています。特にウイスキーづくりのような西洋発祥の分野に挑む際、劣等感にとらわれず、日本人の勤勉さや繊細さ、創意工夫を信じて道を切り拓こうとする姿勢がうかがえます。これは単なる民族的自負ではなく、努力と誠実さをもってすれば、どんな分野でも世界に通用するものが生まれるという、希望と挑戦の精神を象徴する言葉です。
お客様が美味しいと思って飲んでくれるものが本物。
鳥井信治郎さんが商品づくりにおいて何よりも顧客の感覚と満足を重視した姿勢を表す言葉です。製造者の理屈や専門的な評価よりも、実際に飲んだ人が「美味しい」と感じることこそが、商品の価値を決定づけるという考え方です。これは、品質や技術だけでなく、消費者の心に響く味を追求することの重要性を示しています。つまり、商売の本質は「売る側の都合」ではなく「使う側の実感」にあるという教訓であり、顧客目線を忘れずにものづくりをすることの大切さを語っています。
日本で作って、日本で売るわけだから、日本人が美味しいと思わないと売れない。
鳥井信治郎さんが商品開発において「顧客目線」を徹底していたことを示す言葉です。どれほど品質が高くても、海外の基準や評価だけを追い求めても、日本の消費者の味覚や嗜好に合わなければ意味がないという現実的な視点が込められています。これは単なるマーケティング戦略ではなく、「誰のために、何のために作るのか」という本質を問い直す姿勢でもあります。国産ウイスキーの開発においても、鳥井氏は日本人にとって本当に美味しいと感じられる味を追求し、文化に根ざした商品づくりを目指しました。顧客理解と共感こそが、商売の原点であるという教訓です。
社長と呼ばれるのは、三井、三菱、住友ぐらいの大会社で、うちぐらいの小会社で社長と呼ばれるのは、おこがましい。
鳥井信治郎さんが語った謙虚さと自己認識の深さを示す言葉です。ここでの「社長」という肩書きに対する距離感は、名誉や権威に固執せず、実力や実績こそが本質であるという考え方を表しています。三井・三菱・住友といった財閥系の大企業と比べ、自社を「小会社」と位置づけることで、驕らず地道に努力する姿勢を貫いています。この言葉には、肩書きよりも中身を重視し、謙虚に商売を続けることの大切さが込められており、現代の経営にも通じる普遍的な価値観が宿っています。
鳥井信治郎さんの名言を紹介してきましたがいかがでしたか?
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